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おなかの不調

年齢とともに増える便秘、その影に潜むリスクとは?

年齢とともに増える便秘、その影に潜むリスクとは?

近年、多くの中高年の患者さんから便秘のお悩み相談を受けています。40代を過ぎ、「若い頃よりお通じが悪くなった」「市販の便秘薬や食事で対処してきたが改善しない」という方も少なくありません。便秘は歳を重ねれば誰にでも起こり得る身近な症状ですが、実は放置してはいけないケースもあります。本日は、便秘の基礎知識から考えられる原因、そして必要に応じて大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を検討すべき状況について、やさしく解説いたします。一緒に便秘との上手な付き合い方を学び、健康寿命をのばすための一歩を踏み出しましょう。

便秘とは?その定義と種類

一口に「便秘」と言っても、人によって感じ方は様々です。医学的には、日本内科学会によれば「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」を便秘と定義しています。つまり、単に出る頻度が少ないだけでなく、「出し切れていない」感じが続く場合も便秘に含まれます。

便秘は原因やメカニズムによって大きく分類できます。まず、器質性便秘機能性便秘の2種類です。器質性便秘とは腸自体に病気や構造的な異常があって起こる便秘で、一方機能性便秘は腸の働きの問題で起こる便秘です。さらに機能性便秘は原因ごとに3つに分けられます。

  • 弛緩性(しかんせい)便秘: 大腸の動きが全体的にゆるやかになり、腸の内容物を押し出す力が弱まって起こる便秘です。原因としては運動不足や食物繊維不足、腹筋力の低下など生活習慣の影響が大きく、便が腸内に長く留まるため硬くなります。デスクワークで体を動かさない人や高齢者、女性に多くみられるタイプです。
  • 痙攣性(けいれんせい)便秘: ストレスなどで自律神経のバランスが乱れ、大腸が緊張しすぎることで起こる便秘です。腸が部分的にけいれんを起こし、便の通り道が不規則になるため、コロコロと硬い便が出たり下痢と交互に起きたりします。精神的な緊張が強い人や若い世代にも見られます。
  • 直腸性便秘: 便意を我慢し続ける習慣などで起こるタイプです。便が直腸まで来ても反射が鈍くなり、「便意を感じないまま溜め込んでしまう」状態になります。トイレをつい我慢してしまう人や寝たきりの高齢者に多くみられます。

以上が機能性便秘の主なタイプですが、器質性便秘では原因となる病気の治療が必要になる点で異なります。例えば大腸にポリープ(腫瘍)ができて腸が狭くなったり、術後の癒着や先天的な大腸の形態異常など、腸そのものの問題で便の通過が妨げられている場合です。このような器質性便秘は生活習慣の改善だけでは治らないため、医療機関での精密検査と治療が欠かせません

便秘の原因:生活習慣や加齢の影響

では、なぜ年齢とともに便秘がちになるのでしょうか。その背景には日々の生活習慣や加齢による体の変化が関係しています。まず、食生活の影響は大きいです。現代人は食物繊維の摂取が不足しがちで、野菜や海藻、穀物の摂取減少が便を硬くし、出にくくしてしまいます。水分摂取も大切です。水分が足りないと便が硬く乾燥してしまい、排出に時間がかかります。

運動不足も見逃せません。体を動かす機会が少ないと腹筋や横隔膜など排便に関わる筋力が低下し、腸のぜん動運動(腸が内容物を送り出す動き)も弱まります。特にデスクワーク中心の生活や、高齢による筋力低下は弛緩性便秘の大きな要因です。

加齢そのものも便秘に影響します。年を重ねると胃腸の働きが全体にゆるやかになり、消化管の筋力低下や自律神経機能の衰えが起こります。その結果、若い頃は毎日快調だった人でも、歳とともに腸の動きが鈍くなり便秘しやすくなるのです。また高齢者は飲む水の量が減ったり、食が細くなることで便の量自体が減り、腸の刺激が弱くなることもあります。

さらに、生活リズムや排便習慣も原因となります。忙しい朝にトイレを我慢してしまうと、便意のリズムが狂ってしまいます。特に仕事や家事に追われてトイレのタイミングを逃す習慣が続くと、先述の直腸性便秘を招きやすくなります。「出したいときに出す」生活リズムを整えることが大切です。

このように、便秘は食事・運動・生活リズムといった日常の積み重ねによって起こりやすくなります。ですから、まずは生活習慣を見直すことが便秘解消の基本です。ただし、どれだけ気をつけても改善しない頑固な便秘の場合、「年齢のせいだから仕方ない」と自己判断で放置するのは危険な場合もあります。

便秘の陰に潜む病気の可能性

慢性的な便秘症状の裏には、思いもよらない病気が隠れていることがあります。特に注意したいのが大腸の病気です。例えば、日本人に増えている大腸がんは初期のうちは自覚症状がほとんどありません。しかし進行して腫瘍が大きくなると腸管が狭くなり、便が細くなったり便秘や下痢、お腹の張りを引き起こすことがあります。血液が混じることもありますが、肉眼では見えない場合もあるため見過ごされがちです。

また、大腸ポリープ(大腸内のいぼ状の隆起)も便秘の陰の犯人となりえます。ポリープ自体は小さいうちは無症状ですが、大きく育つと腸を部分的にふさぎ、便の通過を邪魔することがあります。特に腫瘍性のポリープ(腺腫)は将来がん化する可能性があるため、早めに発見して切除することが推奨されています。

そのほかにも、過敏性腸症候群(IBS)といった機能性の腸疾患でも便秘(または下痢)を繰り返すことがありますし、甲状腺機能低下症などホルモンの病気が便秘の一因となることもあります。さらにご高齢の方では、腸閉塞(イレウス)の初期症状として便秘と腹部膨満がみられるケースもあります。

このように、便秘の背後には重大な病気が潜んでいる可能性も否定できません。便秘が続くことで痔など肛門のトラブルを招くリスクもありますが、それ以上に怖いのは病気のサインを見逃してしまうことです。「ただの便秘だから」と放置せず、特に次のような症状を伴う場合は早めに消化器専門の医師に相談してください。

  • 便秘と下痢を繰り返す(交互に起きる)
  • 便に血が混じる(黒っぽい便や紙につく血も含む)
  • 便が細い(いつもより極端に細長い便が出る)
  • 残便感が続く(出し切れていない感じが消えない)
  • 腹部の張りや違和感がある
  • 急な体重減少がみられる
  • 貧血を指摘された(便に潜む出血が慢性的に起きている可能性)

以上のような症状がある場合は、便秘の原因精査のために大腸内視鏡検査(大腸カメラ)など精密検査が必要になるケースと言えます。特に40歳以上で今まで検査を受けていない方は、年齢とともに大腸がんのリスクも高まりますので、一度専門医の受診をおすすめします。

市販薬に頼りすぎるのは危険?下剤の常用にご注意

便秘が続くと、つい手軽な市販の便秘薬(下剤)に頼りたくなる気持ちはよく分かります。確かに一時的にお通じをつけるには市販薬も有効です。しかし、「薬を飲めば出るから」と長期間にわたり乱用すると、思わぬ弊害があります。

特に刺激の強いタイプの下剤は、飲み続けるうちに効果が薄れ(耐性)、さらに腸が薬なしでは動かなくなる恐れがあります。実際、長期連用により同じ効果を得るために薬の量を増やす必要が生じ、最終的には薬がないと排便できない「便秘薬依存症」の状態に陥ってしまうケースがあります。こうなると悪循環で、薬をやめたくてもやめられなくなってしまいます。

加えて、下剤の乱用は電解質異常や腸機能の低下など健康上のリスクも伴います。実際に便秘薬の過剰使用が原因で重篤な副作用(低カリウム血症等)や死亡例が報告されたこともあります。市販の便秘薬はあくまで一時しのぎと心得て、漫然と使い続けるのは避けましょう。

何より大切なのは、頑固な便秘に対して「原因を正しく見極める」ことです。便秘は生活の質(QOL)を下げるだけでなく、前述のように大腸がんなど重大な病気のサインである可能性もあります。便秘は決して我慢すべきものではありませんし、市販薬だけで済ませていいものでもありません。長引く便秘でお悩みの方こそ、医療機関で原因を調べて安全で効果的な治療を始めることが、結果的にご自身の体にとって一番の近道なのです。

どんな場合に大腸内視鏡検査が必要?

便秘の精密検査として代表的なのが、大腸内視鏡検査(いわゆる大腸カメラ)です。「お尻からカメラを入れるなんて痛そうだし恥ずかしい…」と不安に思われるかもしれません。しかし、近年の内視鏡検査は技術も機器も飛躍的に進歩しており、適切な前処置と鎮静下(軽い麻酔)の検査によってほとんど苦痛なく受けることが可能です。

慢性的な便秘に加え、前述したような警戒すべき症状(血便・体重減少など)がある場合はもちろん、40歳以上で今まで一度も大腸検査を受けたことがない方にも、大腸カメラによるチェックをおすすめします。日本では大腸がん検診が40歳以上から推奨されています。初期の大腸がんは症状がほとんどないため、「自分は大丈夫」と思っている方ほど一度検査を受けておく価値があります。

大腸カメラでは大腸がんやポリープの有無を直接確認できるだけでなく、その場でポリープを切除して治療することも可能です。検査と同時に治療までできるのは大腸内視鏡検査ならではの大きなメリットです。検査前の下剤による腸内洗浄や飲食制限など事前準備は必要ですが、そのひと手間で将来の安心が得られると思えば決して高いハードルではありません。

「検査は痛いのでは?」と不安な方へ

以前に検査を受けて辛い思いをした方や、「痛みに弱いから心配…」という方もご安心ください。現在では内視鏡検査の際、多くの医療機関で鎮静剤を用いた検査が行われています。鎮静剤でうとうと眠っている間に検査が終わるため、痛みや恐怖をほとんど感じません。実際、当院で検査を受けた患者さんからも「麻酔で寝ている間に終わり、気づいたら検査が済んでいました」といったお声をいただいています。

もちろん鎮静剤を使わない場合でも、最新の細径スコープや高度な挿入技術によって苦痛は大幅に軽減されています。お腹の張りや痛みが出にくいよう空気の代わりに炭酸ガスを使用する、腸のカーブを直線化してゆっくり進める等、医師・スタッフが工夫しながら検査を行います。「以前つらかったから二度と嫌だ」と思っている方ほど、ぜひ今の新しい内視鏡検査を体験してみてください。

古橋医院の内視鏡検査が安心な理由

茨城県稲敷市にある当院・古橋医院では、地域の皆さまに苦痛の少ない内視鏡検査を提供することを目指しています。内視鏡担当医である副院長は、大学病院の内視鏡部にて13年間研鑽を積み、現在も聖路加国際病院など都内の病院で内視鏡治療や指導に携わっています。早期の食道・胃・大腸がんやポリープの内視鏡治療、精密診断を得意としており、その経験を活かして皆さまの検査にあたっています。

また、当院では最新鋭の内視鏡システムを導入しています。2023年8月に内視鏡機器を一新し、オリンパス社製の最上位機種「EVIS X1」を県内でいち早く導入しました。この最新内視鏡はNBIやLCIといった画像強調機能を備え、ごく小さな病変も見逃しにくい高精細な観察が可能です。加えてCanon製の高性能超音波装置も備え、必要に応じて消化器の隅々までチェックできる体制を整えています。

検査中は先述の通り鎮静剤を使用し、リラックスした状態で受けていただけます。モニターでバイタルサイン(血圧・酸素濃度など)を管理し、安全に十分配慮しています。患者さんからは「最新の内視鏡設備とやさしい対応で、不安なく検査を終えられました」とご感想をいただいており、初めての方や痛みが不安な方にも「受けて良かった」と感じていただけるよう努めています。

さらに検査だけで終わらず、もしポリープが見つかった場合は日帰りでその場で切除治療も可能です。大腸ポリープは放置すれば将来がん化するものもありますが、検査中に取ってしまえばそのリスクを大きく減らせます。入院の必要もありませんので、お身体への負担も軽微です。

スタッフ一同、患者さんに寄り添った丁寧な対応を心がけております。過去に検査でつらい思いをされた方も、どうぞ安心してご相談ください。「胃カメラ・大腸カメラはつらい」という常識を覆すべく、古橋医院では最新の技術と専門医の経験で皆さまの不安を取り除き、安心して検査を受けていただける環境を整えております。

便秘が続くとお腹の不快感がつらいものです。「最近、トイレに行ってもすっきり出ない」と感じたら、一人で悩まず専門医に相談しましょう。年齢のせいと諦める必要はありません。

大腸内視鏡検査はこのように横になって受け、鎮静剤でうとうと眠っている間に終了します。検査時間自体は15〜30分程度で、苦痛はほとんど感じません。経験豊富な医師が丁寧に操作しますので安心して臨んでください。

健康寿命をのばすために、今こそ一歩を

便秘は「たかが便秘」と軽く見られがちですが、快適な毎日を送るため、そして大腸の健康を守るために非常に重要な体からのサインです。この記事をお読みの皆さまには、ぜひ「いつものことだから」と我慢せず、まずは医師にご相談いただきたいと思います。適切な検査によって安心を得られれば、毎日の暮らしの不安も解消しますし、万一何か見つかっても早期に対処できます。これは結果的に皆さまの健康寿命を延ばすことにつながるのです。

古橋医院では、便秘に関するご相談から内視鏡検査まで、一貫してサポートいたします。「ちょっと話を聞いてみたい」程度でも構いませんので、お気軽に門を叩いてください。今、この一歩を踏み出す勇気が、将来の大きな安心につながります

便秘は「たかが便秘」と軽く見られがちですが、
快適な毎日を送るため、そして大腸の健康を守るために非常に重要な体からのサインです。
「お通じ」の不安から解放される日々を目指しましょう。

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