当院ではWeb予約を推奨しております。
お電話での予約は14:35〜16:30にお問い合わせください。

おなかの不調

痔?それとも消化器の病気? — 症状の見分け方と受診のポイント

最近、「お尻から出血があったけれど、痔なのか消化器の病気なのかわからない」「どの診療科に行けばいいのか迷っている」といったご相談を耳にします。実際、当院の電話や窓口でも「痔のようだけど血便がある場合は受診できますか?」というお問い合わせが多く、排便時の不快感に悩まれている患者さんはも少なくありません。

肛門からの出血はデリケートな問題で、人に相談しづらいかもしれません。しかし「痔だろう」と自己判断してしまうのは危険です。痔による出血だと思って放置していたら、実は大腸ポリープや大腸がんなど別の病気が隠れていた…ということも起こり得ます。そこで今回は、痔による出血と消化器疾患(大腸がん, 大腸憩室出血, 潰瘍性大腸炎など)による出血の違いや見分け方、出血の色や痛み方から考えられる原因、さらに何科を受診すべきかや消化器内科で行える検査(大腸内視鏡検査)の流れについてお話しします。

加えて、検査の結果「痔の出血」だった場合の対応(当院では痔の治療は行っていないため専門医をご紹介すること)や、自己判断で放置するリスクと早めに内視鏡で確認するメリット、そして当院における苦痛の少ない内視鏡検査への取り組み(鎮静剤の使用や最新機器の導入、副院長の経歴など)についても触れたいと思います。できるだけわかりやすく、親しみやすい語り口で説明しますので、どうぞ最後までお付き合いください。

痔の出血?それとも消化器の病気?

肛門からの出血には痔によるもののほか、大腸ポリープ・大腸がん、憩室からの出血、腸の炎症(潰瘍性大腸炎など)までさまざまな原因が考えられます。症状だけで痔か大腸の病気かを見分けるのは非常に難しいのですが、いくつかの特徴から推測の手がかりは得られます。出血の色や出方、伴う痛みの有無などに注目してみましょう。

  • 鮮血の場合: 血の色が鮮やかな赤色で、便の表面やトイレットペーパーに付く程度の場合、肛門近くからの出血が疑われます。典型的なのは痔核(いぼ痔)や裂肛(切れ痔)による出血です。痔核では排便時に鮮紅色の出血が見られ、ポタポタと滴る少量の出血から、便器の水が真っ赤に染まるほど出ることもあります。裂肛の場合は鮮血が少量で、大量に出血することはあまりありませんが、排便時に鋭い痛みを伴うのが特徴です。
  • 暗赤色の場合: 血の色が暗い赤色やワイン色の場合、出血源がもう少し肛門から離れた大腸の奥(直腸~結腸)である可能性が高いです。便の表面だけでなく全体に血が混ざって黒っぽく見えることも多く、大腸がんなどではこのような暗赤色便として現れることがあります。
  • 黒色便の場合: タール状の黒い便(いわゆる黒色便)が出た場合、出血はさらに上部の胃や小腸から起きている可能性があります。胃潰瘍や十二指腸潰瘍など上部消化管からの出血で、血液が消化液と混ざり黒く変色するためです(この場合は消化器内科でも上部内視鏡検査〈胃カメラ〉が必要です)。
  • 粘液混じりの場合: 血液に透明~白っぽい粘液が混ざっている粘血便が見られるときは、潰瘍性大腸炎など大腸の炎症性疾患や感染性腸炎が疑われます。腸にびらんや潰瘍ができるため、下痢に粘液や膿が混ざり、しぶり腹(何度もトイレに行きたくなる)や腹痛、発熱などを伴うことが多いのも特徴です

このように出血の色調からある程度の推測はできますが、症状が完全に重なるケースも多く油断は禁物です。例えばお尻からの出血が「鮮血で痛みもあるから痔だろう」と思っていても、直腸がんでも似たような鮮血便が出ることがあり、自分では区別できません。実際、痔と大腸がんの出血は見た目が非常によく似ている場合もあり、自己判断で放置するのは危険です。特に40代以降では初めての血便を安易に痔と決めつけず、ぜひ一度消化器科で検査を受けて確認することをおすすめします。

痛みの有無や量も判断材料に

もう一つのポイントは痛み出血量などの症状です。痔の中でも裂肛(切れ痔)の場合は排便時に強い痛みを伴い、肛門が裂けるような痛みとともに出血します。一方で内痔核(肛門内の痔)は痛みを感じる神経がない部位にできるため、出血しても痛みを感じないことが多いのです。「出血はあるのに痛みがまったくない」という場合、内痔核のほか大腸ポリープや大腸がんによる出血も疑われます。大腸の腫瘍は初期のうちは痛みなど自覚症状が少ないため、「痛みがないけど血が出る」という場合は要注意です。

また、出血のタイミングや出血量も重要です。痔による出血は排便時または直後に起こり、比較的短時間で止血することが多いですが、憩室出血など大腸の病変からの出血は、ある日突然大量の出血が起こることがあります。大腸の壁にできた小さな憩室という袋状の部分で血管が破れ、痛みを伴わずにいきなり鮮血がドッと出るのが特徴です。多くは自然に止まるものの、場合によっては出血量が多く血圧低下や重度の貧血を起こす危険もあります。

一方、腹痛を強く伴う出血では、虚血性大腸炎など腸の血流障害による病気も考えられます。こちらは高齢者に多く、突然の激しい下腹部痛で始まり、何度かトイレに行くうちに血便に気づくという経過が典型です。このように、痛みの有無や他の症状(下痢、発熱、めまい、体重減少など)も合わせて観察することで、「痔の出血らしい」「他の病気かもしれない」とある程度見当をつけることはできます。しかし繰り返しになりますが、最終的な診断には検査による確認が不可欠です。では、実際に血便が出たときはどの診療科を受診し、どんな検査を受けることになるのでしょうか。

何科に相談すればいい?— 肛門科と消化器内科の選び方

お尻からの出血に気づいたとき、真っ先に「痔だから肛門科かな?」と考える方も多いでしょう。確かに、痔の専門治療を行っているのは肛門科(肛門外科)ですので、痔が明らかな場合は肛門科で治療を受けることになります。ただ、ここまで見てきたように血便の原因は痔とは限らず、他の消化器疾患が潜んでいる可能性があります。血便が出たら、まずは消化器内科か肛門科を受診するのが望ましいのですが、とくに初めての血便や40代以上の方では、はじめに消化器内科を受診することをおすすめします。

消化器内科であれば、内視鏡検査(大腸カメラ)など専門的な検査によって大腸の中まで詳しく調べることができます。仮に出血の原因が痔であっても、大腸カメラで大腸がんなど他の疾患がないか確認しつつ痔も診断することが可能です。一方、肛門科を受診した場合でも、血便が続くときには「大腸カメラは受けましたか?」と尋ねられ、まだであれば消化器内科を紹介されて検査を受ける…という流れになることが多いのです。最初から消化器内科で検査まで受けておけば、一度の受診で痔なのか他の病気なのかをその場で確認できるため安心です。

痔の治療自体は消化器内科では扱わない場合もありますが(当院でも後述するように痔の手術などは行っておりません)、検査による診断までは消化器内科でしっかりと対応できます。原因が判明したら、必要に応じて適切な専門医療(たとえば痔の手術が必要なら肛門外科、大腸がんが見つかれば消化器外科…など)へ引き継いでもらえます。まずは消化器内科で「何が原因の出血か」を突き止め、その上で治療方針を決めるのが合理的だと言えるでしょう。

消化器内科で行う検査:大腸カメラによる診断の流れ

血便の原因を確定診断するための検査として最も有効なのが大腸内視鏡検査(大腸カメラ)です。肛門から小指ほどの太さの柔らかいカメラを挿入し、直腸・結腸の内側を直接観察する検査で、痔による出血か、それとも大腸の病変による出血かをその場で判断できます。内視鏡には小さな鉗子(はさみ)を通すこともできるため、検査中に怪しい組織があれば一部を採取(生検)して顕微鏡検査を行ったり、ポリープが見つかればその場で切除したりすることも可能です。画像はモニターに拡大表示され、肉眼では見えない小さな病変も見逃しません。

「カメラを肛門から入れるなんて痛そう…」と不安に思われる方も多いでしょう。しかしご安心ください。当院では鎮静剤(静脈麻酔)を使用した内視鏡検査を行っており、ウトウトと眠っている間に検査が終了します。点滴で鎮静剤をゆっくり注射し、意識がぼんやりしている状態で検査を開始しますので、検査中の痛みや恐怖をほとんど感じません。実際に「気づいたら終わっていた」とおっしゃる患者様も多く、過去に検査でつらい思いをした方ほど鎮静下での大腸カメラをおすすめしています。検査中はモニターで血圧や酸素濃度を管理し、安全に十分配慮していますのでご安心ください。

検査時間自体は約15〜30分程度ですが、検査2日前からの食事制限や当日の腸管洗浄(下剤で腸を空っぽにする準備)が必要です。しかし、一度の大腸カメラで原因がはっきりすれば大きな安心につながります。便潜血検査(便の中の微量な血液を調べる検査)は、痔があると陽性になってしまったり、逆に早期の大腸がんでも陰性に出て見逃されることがあります。その点、大腸カメラなら小さな病変もしっかり直接確認できるため、見落としがほとんどありません。どんなに詳しく症状を観察しても、痔と大腸がんを完全に見分けるためには大腸内視鏡検査を受けるしかないのです。

もし検査の結果、「出血の原因は痔であり、大腸には特に異常がない」と分かれば、それだけでも大きな安心材料になります。逆に万一ポリープや初期の大腸がんが見つかった場合でも、早期であれば内視鏡による切除で根治を目指せます。いずれにせよ、原因を確かめておくことには大きなメリットがあるのです。

検査後の対応についても簡単に触れておきましょう。大腸カメラで痔と診断がついた場合、当院では痔の外科的な治療(硬化療法や手術など)は行っておりませんので、ご希望や症状に合わせて適切な専門医療機関をご紹介いたします。例えば、軽症の痔核で日常生活指導や軟膏・坐薬による治療で経過を見るケースもあれば、出血や痛みが強い場合は肛門科での処置(硬化療法〈ジオン注射〉や結紮切除手術など)が必要になることもあります。そうした専門的な治療が必要と判断される場合には、連携先の肛門科専門クリニックや病院をご紹介いたしますのでご安心ください。逆に、検査で大腸ポリープが見つかりその場で切除を行った場合や、大腸がんが判明した場合には、その後の内視鏡経過観察や外科治療などについてもしっかりフォロー・ご説明いたします。

自己判断で放置するリスク — 早期確認の大切さ

「お尻の出血くらいで大げさな…」と受診をためらう方もいるかもしれません。ですが、見て見ぬふりをしたり「痔だろう」と放置するのは非常に危険です。血便の原因には軽症の痔から命に関わる病気まで様々なものがあり、放置すれば大腸がんの発見が遅れてしまうこともあります。実際、「痔の出血だと思っていたら進行した大腸がんだった」というケースは決してゼロではありません。特に痛みがないタイプの血便は「大したことない」と思われがちですが、上でも述べたように痛みがないまま出血する病気には注意が必要です。

反対に、早めに内視鏡で確認しておけば簡単に治療・完治できる可能性も高まります。大腸がんは早期に発見できれば治療で完治も望める病気です。大腸ポリープの段階で切除できればがん化を予防できますし、潰瘍性大腸炎など炎症性疾患も早期に治療開始すれば重症化を防げます。何より、「大腸に異常なし」と分かればそれだけで精神的な安心につながります。疑わしい症状があるときは検査を受けて安心を得ることが大切なのです。

「とはいえ検査は怖いし恥ずかしい…」と思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし現在の内視鏡検査は上記のように苦痛や羞恥心に最大限配慮して行うことが可能です。早期発見・早期治療のメリットを考えれば、一歩踏み出して検査を受ける価値は大いにあると言えるでしょう。少しでも不安があれば、お一人で悩まずに専門医に相談してください。

古橋医院の内視鏡検査が選ばれる理由 ~安心できる体制~

当院・古橋医院では、地域の皆様に安心して内視鏡検査を受けていただける体制を整えております。その特徴をいくつかご紹介します。

  • 経験豊富な専門医が検査を担当: 大学病院で長年研鑽を積んだ消化器内視鏡の専門医が大腸カメラ検査を行います。当院内視鏡医師である副院長は東京慈恵会医科大学附属病院の内視鏡科で13年間にわたり専門診療・研究に携わった経歴を持ち、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医の資格も取得しています。胃がん・大腸がんの早期発見から内視鏡治療まで精通したエキスパートであり、最新技術を駆使した苦痛の少ない内視鏡検査を得意としています。
  • 鎮静剤を用いた苦痛の少ない検査: 前述のとおり、当院では鎮静剤(静脈麻酔)を使用した内視鏡検査が可能です。過去に「検査がつらかった」という経験がある方でも眠っている間に検査が終わります。検査中は患者様の脈拍・血圧・酸素飽和度などをモニターで確認し、安全に十分配慮しております。初めての方もどうぞ安心してお任せください。
  • 最新式の内視鏡システムを導入: 検査機材にはオリンパス製の最新式内視鏡システムを導入しています。画像が非常に鮮明で、小さなポリープや粘膜のわずかな変化も発見しやすく、消化器がんの早期発見に威力を発揮します。また、スコープ(カメラ)自体も細くしなやかな極細径タイプ(直径5~6mm程度)を採用し、挿入時の違和感を大幅に軽減しています。大腸をできるだけ伸ばさず折りたたみながら進める「軸保持短縮法」という挿入技術を用いており、お腹の張りや痛みを感じにくい検査を実現しています。大学病院レベルの機器と技術を地域のクリニックで提供し、快適な検査に努めています。
  • きめ細やかな説明とサポート: 検査前には医師が直接しっかりと問診・診察を行い、不安な点は何でもご相談いただけます。検査に向けてスタッフが下剤の飲み方から検査後の注意点まで丁寧にサポートいたします。検査が終わった後は、モニターに映った実際の内視鏡画像をお見せしながら現在の大腸の状態をわかりやすくご説明します。初めての方でも落ち着いて検査を受けていただけるよう、アットホームで温かな対応を心がけています。

「健康寿命」をのばすために:今こそ一歩踏み出しましょう

肛門からの出血というと、「恥ずかしい」「歳のせいかな」とつい様子を見てしまいがちです。しかし、健康寿命をのばすためには、異変を感じたときに早めに対処することが何より大切です。お尻の不調を抱えたままでは、毎日の生活もどこか心から楽しめないですよね。もし血便などの症状や検診結果の異常で不安を感じているなら、どうか恥ずかしがらず・怖がらずに専門医の扉をたたいてみてください。私たちは地域のかかりつけ医として、皆様の不安に寄り添いながら診療いたします。

大腸内視鏡検査は決して怖いものではなく、あなたの健康を守る心強い味方です。 少し勇気を出して検査を受ければ、きっと「受けて良かった」という安心感が得られるはずです。どうぞ一人で悩まず、私たち古橋医院にご相談ください。ご予約は当院WEB予約ページより承っております。スタッフ一同、皆様の健康をお守りするお手伝いができることを願っております。健康な毎日を取り戻すために、今こそ一歩踏み出しましょう。

排便時に少量でも出血があるのは異常です。
「痔だろう」と自己判断して放置すると、実は大腸の病気が隠れていた…ということもあります。
痔による出血か消化器の病気か心配なときも、お一人で悩まずにぜひご相談ください。

内視鏡検査・消化器外来のご予約はこちら

🗓 ご予約ページへ進む

24時間いつでもWeb予約可能です。

関連記事

営業日カレンダー
最近の記事
  1. ピロリ菌ってなに? — 感染原因から検査・除菌治療までやさしく解説

  2. 痔?それとも消化器の病気? — 症状の見分け方と受診のポイント

  3. 年齢とともに増える便秘、その影に潜むリスクとは?

アーカイブ
おすすめ記事